相続登記が義務化されたって本当?親の土地・家を放置するとどうなる?

2026年9月3日

相続登記が義務化されたって本当?親の土地・家を放置するとどうなる?

目次

親の土地や家を相続したものの、「名義変更まで急がなくてもいいのでは?」と考える方もいるかもしれません。しかし、相続登記は2024(令和6)年4月1日から法律上の義務になりました。義務化前に発生した相続もさかのぼって対象となります。この記事では、相続登記の基本、期限、放置した場合の困りごと、最初に確認したいポイントまで順を追って解説します。

相続登記とは

不動産の名義を相続人に変える手続き

相続登記とは、亡くなった人が所有していた土地や建物について、不動産登記簿上の名義を相続人へ変更する手続きです。所有者が亡くなっても登記簿の名義が自動で相続人に変わるのではなく、相続人が法務局へ申請する必要があります。

土地や家の所有者を明確にするためのもの

不動産登記には、土地や建物の所在、面積、所有者などの情報が記録されています。相続登記により、相続後の権利関係を登記記録に反映できます。

相続登記がなされないことなどは、登記簿を見ても現在の所有者を把握できない「所有者不明土地」が生じる一因です。こうした土地の増加が民間取引や公共事業などをスムーズに行えないという社会問題になり、その対策として相続登記が義務化されました。

2024年4月1日から何が変わった?

1.相続登記の申請が義務化

2024(令和6)年4月1日から、相続によって不動産を取得した相続人には、相続登記を申請することが義務になりました。遺言によって不動産を取得した相続人も対象です。重要なのは、2024年4月1日より前の相続も対象になることです。施行前の時期に相続した不動産の取得を知っていたものの相続登記が済んでいない場合は、原則として2027(令和9)年3月31日までに対応する必要があります。古い相続だからといっても対象外にはなりませんので注意しましょう。

2.知った日から3年以内が基本

基本的な期限は、「自分のために相続が始まったこと」と「その不動産の所有権を取得したこと」を知った日から3年以内です。また、遺産分割が成立して不動産を取得する人が決まった場合は、遺産分割成立の日から3年以内に、その内容を反映した相続登記を申請する義務があります。話し合いがまとまらず、期限内に通常の相続登記をすることが難しい場合には「相続人申告登記」も利用できます。自分が登記名義人の相続人であることなどを法務局に申し出ることで、基本的な申請義務は行っているとみなされる仕組みです。ただし、これは不動産の権利関係そのものを確定・公示する相続登記とはちがいます。

3.正当な理由なく申請しないと過料の対象になることがある

正当な理由がないまま期限内に相続登記を申請しなかった場合、10万円以下の過料の対象になる可能性があります。ただし、「期限を過ぎたら必ず10万円を支払わないといけない」という意味ではありません。制度の目的は、相続した不動産の権利関係を早めに整理し、所有者不明化を防ぐことにあります。必要以上に不安を感じるより、まず登記状態を確認して手続きに着手することが大切です。

放置すると困ること

1.売却には相続登記が必要になる

相続した不動産を売却する場合、故人名義のまま買主への所有権移転登記を進めるのではなく、先に相続登記をして現在の権利関係を登記に反映する必要があります。

相続人申告登記を済ませても、それだけでは売却のための権利関係の公示にはなりません。今すぐ売る予定がなくても、将来の処分に備えて整理しておくと手続きを進めやすくなります。

2.建て替え時の資金調達や担保設定で相続登記が必要になることがある

建て替えそのものは、相続登記をしていないからできなくなるわけではありません。ただし、相続した不動産に抵当権を設定して資金調達する場合には、相続人申告登記だけでは足りず、相続登記が必要です。不動産を活用する可能性があるなら、名義を後回しにしない方が安心です。

3.相続人が増えて話し合いが難しくなる

相続登記をしないまま年月がたつと、もともとの相続人も亡くなり、その人の権利を次の相続人が引き継ぐことがあります。最初は兄弟姉妹だけで整理できた不動産に、次の世代が関係してくることもあります。関係者が増えるほど、戸籍の収集や遺産分割の話し合いに時間がかかりやすくなります。今後の利用方法を決める前でも、相続関係と登記状態は確認しておきましょう。

まず確認したいこと

1.登記簿上の名義

最初に確認したいのは、土地と建物が現在は誰の名義になっているかです。土地は父名義、建物は祖父名義というように、同じ実家でも名義がそろっていない場合があります。

登記内容は、法務局で登記事項証明書を取得するほか、登記情報提供サービスを使ってオンラインでも確認できます。また、亡くなった人がどこに不動産を持っていたのか把握できない場合には、2026(令和8)年2月2日に始まった「所有不動産記録証明制度」により、一定の条件のもと、登記名義人として記録されている不動産を一覧的に確認できる仕組みもあります。

2.相続人の範囲

次に、誰が相続人になるのかを確認します。一般的には、配偶者は常に相続人となり、配偶者以外では子、直系尊属(父母や祖父母など)、兄弟姉妹の順に相続順位があります。すでに亡くなっている人がいる場合の代襲相続などで、関係者が増えることもあります。

相続人の範囲は思い込みで判断せず、戸籍をたどって確認することが基本です。

3.遺言書や遺産分割協議

遺言書があるか、遺産分割協議が成立しているかによって、必要な登記や準備書類は変わります。複数の相続人がいる場合も、遺産分割の進み具合で対応が異なります。

期限が迫っていて遺産分割がまとまらない場合には、相続人申告登記を利用できる可能性があります。一方、遺産分割が成立した後は、その内容に応じた相続登記が必要です。事情が複雑な場合は、法務局の手続案内や司法書士などの専門家への相談によって事情を整理してから手続をしましょう。

まとめ 親の土地や家は名義確認から始める

相続登記は2024(令和6)年4月1日から義務化され、自分のために相続が始まったことと所有権を取得したことを知った日から3年以内の申請が必要です。2024(令和6)年4月1日より前の相続でも、相続登記されていない不動産は対象です。

ただし、親の土地や家を相続したからといって、すぐに売る・貸す・活用すると決める必要はありません。まずは土地と建物の登記名義、相続人の範囲、遺言書や遺産分割の状況を確認することが第一歩です。

不動産は、駅からの距離といった所在地の特性や接道条件、用途地域、建物の状態、災害リスク、周囲の売買・賃貸需要などによって今後の選択肢も変わります。権利関係を整理したうえで、所有を続けるのか、売却するのか、活用するのかを検討しましょう。なお、個別の登記方法や最終判断は法務局や司法書士等の専門家へ確認してください。

相続登記の義務化に関するQ&A

Q1. 相続登記はいつまでに必要ですか?

原則として、自分のために相続が始まったことと、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内です。2024(令和6)年4月1日より前から取得を知っていた未登記不動産は、原則2027(令和9)年3月31日までが期限です。

Q2. 2024年より前に相続した不動産も対象ですか?

はい。2024(令和6)年4月1日より前に発生した相続でも、相続登記が済んでいない不動産は対象になる場合があります。古い相続でも登記名義を確認しましょう。ただし、不動産を相続で取得したことを知った日が2024(令和6)年4月1日以降なら、その日から3年以内という例外があり、相続で取得したことを知った時期によって期限が異なる場合があります。

Q3. 相続人が複数いる場合はどうすればいいですか?

相続人の範囲と遺言書の有無、遺産分割の状況を整理します。期限内に遺産分割がまとまらない場合は、各相続人が単独で相続人申告登記を申し出る方法もあります。その後に遺産分割が成立した場合は、取得者がその内容に基づく相続登記を行う必要があります。

Q4. 司法書士に相談した方がいいですか?

自分で申請することもできますが、相続人が多い、数世代にわたり未登記、不動産が複数あるなど手続きが複雑な場合は司法書士への相談が確実です。相続人同士の争いなど法律上の紛争を含む場合は、弁護士への相談も検討しましょう。個別の登記方法や最終判断は法務局や司法書士等の専門家へ確認してください。

参考文献

法務省 相続登記の申請義務化について https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html