液状化しやすい土地の見分け方|地形分類・旧河道・埋立地から考える住まい選び
2026年9月3日

目次
理想のマイホームを探し始めると、駅からの距離や周辺の買い物環境といった立地条件や土地の価格・家賃といった金銭面に目が行きがちです。
しかし、家族の安全を守り、安心して長く住み続けるためには、見えにくい地盤リスクに注意する必要があります。とくに、地震の際に懸念されるのが液状化リスクです。
この記事では、液状化の仕組みや液状化リスクが高い土地の特徴、地形分類図を使った確認方法について解説します。液状化リスクの背景にある地形の成り立ちを理解し、適切な対策や最新ツールを活用すれば、土地購入前の不安を解消し、安心・安全な住まい選びが実現できます。
液状化とは?地震のときに地盤がゆるむ現象
液状化という言葉自体は知っていても、地盤の中で何が起こっているのかをイメージできる人は少ないです。ここでは、液状化がどのような現象なのかを理解しましょう。
地下水と砂が混ざり合って泥水になる
液状化とは、強い地震の揺れによって、普段は固まっている地面が突然泥水のようになってしまう現象を指します。
本来、水分を含んだ地盤は、砂の粒子同士ががっちりと噛み合わさることで固い状態を保っています。しかし、大きな地震で激しい揺れが加わると、砂の噛み合わせが外れて粒子が浮き上がり、地下水と混ざり合うようになります。これにより、固かった地盤がまるで液体のように柔らかい状態へと変化してしまうのです。
建物が傾いたり、泥が噴き出したりする影響も
地盤が液状化すると、地面が固い物質から液体に近い状態へと変わるため、重い建物を支えきれなくなります。その結果、家が斜めに傾いたり、沈下してしまったりする被害が発生します。
また、地面のひび割れから水と砂が勢いよく吹き出す「噴砂(ふんさ)」という現象が起こる点も特徴です。噴砂が起きると、敷地や道路が泥まみれになり、地震後の避難や復旧の妨げとなります。さらに、地中に埋められている水道管やガス管が押し上げられて破損し、ライフラインが長期にわたって止まるリスクもあります。
液状化しやすい土地の特徴
しかし、すべての土地で同じように液状化が起こるわけではありません。液状化が発生するには、いくつかの条件があります。土地を比較検討する際には、検討しているエリアがこれから説明する条件に当てはまっているかを確認しましょう。
特徴①サラサラした砂の地盤である
液状化が起きやすい土地の条件は、地盤がサラサラとした質の揃った砂で構成されている場合です。
粘土質の土や、大小さまざまな石が混ざり合った地盤は、粒子同士が強くくっつき合っているため液状化しにくい傾向にあります。一方で、粒の大きさが揃った細かい砂でできた地盤は、地震の揺れによって粒子同士の結合が簡単に離れてしまう性質を持っているため、液状化が起こりやすくなります。
特徴②地下水位が高く地面の近くに水がある
第二の条件は、地下水位(地表から地下水までの距離)が高いことです。
いくら砂の地盤であっても、完全に乾燥していれば液状化は起きません。しかし、地表から1〜2mほどの浅い位置に豊富な地下水がある土地は、強い揺れによって砂と水が混ざり合いやすい環境にあり、液状化が起こりやすくなります。
昔から水と縁が深い地域や低地は地下水位が高く、注意が必要です。
液状化リスクが高い旧河道・埋立地・低地・干拓地とは?
地盤の性質や地下水位の高さは、地形の成り立ちに深く関係しています。ここでは、液状化リスクが比較的高いとされる代表的な地形について解説します。
旧河道:昔の川の跡
旧河道とは、文字通り「昔の川の跡」のことです。河川の改修工事や自然の変化によって、かつて川が流れていた場所が埋もれて現在は陸地になっている場合が多いです。
川の跡地には、水によって運ばれてきたサラサラの砂や泥が厚く積もっています。また、元が川であるため地下水位が高く、液状化の条件を満たしやすいです。旧河道は、周辺よりわずかに土地が低くなっていることも多く、液状化リスクに加えて水害リスクも確認したい地形です。
埋立地:海や湖などを人工的に造成した土地
埋立地とは、海や湖、湿地などの水辺に土砂を投入し、人工的に造り上げた土地です。
湾岸エリアや港湾部に多く見られ、比較的新しく整備された街並みが広がっているのが特徴です。人工的に土を盛って造られた地盤であるため、自然に固まった古い地盤に比べると土の締め固まりが緩く、水分を多く含んでいます。そのため、大きな地震の際には液状化が発生しやすいです。
低地・干拓地:水が集まりやすく湿り気が多い土地
低地とは、山や台地に比べて標高が低く、周辺から水が集まりやすい平坦な土地です。川が運んできた土砂が積もってできた場所が多く、地盤が柔らかいのが特徴です。
干拓地は、浅い海や湖沼を堤防で囲み、内部の水を抜き取って陸地にした土地を指します。干拓地も埋立地と同様に元が水域であったため、地下水位が地表のすぐ近くにあり、水分をたっぷり含んだ細かい砂や泥で構成されています。
液状化対策で地形分類図の何を見るべきか?
検討している土地が旧河道や埋立地などに該当するかは、見た目だけでは判断できません。そこで活用したいのが地形分類図です。地形分類図の使い方を知ると、土地の安全性をより客観的に見ることができるようになります。
地形分類図とは土地の成り立ちを色分けした地図
地形分類図とは、その土地が山地なのか、台地なのか、あるいは旧河道や埋立地なのかといった土地の成り立ちや種類を色分けした地図です。国土地理院のウェブサイトなどで一般に公開されており、誰でも自由に閲覧することができます。
地形分類図は、現在の街並みの下にある地盤の素顔を映し出します。一見すると平坦な土地に見えたり、きれいな住宅街に見えたりしても、地形分類図を見ると実は旧河道だったというケースは少なくありません。
台地・山地と低地・人工改変地の色の違いをチェック
地形分類図を見るポイントは、色の違いによって地盤の強いエリアと弱いエリアを大まかに見分けることです。
たとえば、台地・山地は液状化リスクが比較的低いエリアです。長年にわたって締め固められた地盤であり、標高も高いために地下水位が低い傾向にあります。液状化リスクは限定的です。一方で、低地・旧河道・埋立地は注意が必要なエリアです。水分を多く含んだ柔らかい層が厚く、液状化リスクが高めであると推測できます。
地形分類図を確認すると、「このエリアは昔水辺だったのかもしれない」という仮説を立てられ、より安全な土地を選ぶ視点が得られます。
トチシルでは、気になるエリアの地盤・地形の安定性を確認できます。ぜひご活用ください。

液状化リスクをハザードマップだけで判断してはいけない理由
自治体が発行しているハザードマップは、土地の安全性を確認する便利なツールです。しかし、ハザードマップで「危険度が高い」からといって、その土地を住まいの候補から外してしまうのは早計です。
ここでは、ハザードマップの特性と限界を理解しましょう。
ハザードマップは広域の大まかな予測値だから
ハザードマップに表示されている情報は、数百m四方で大まかに計算された広域の予測値です。そのため、ハザードマップ上では同じ色に塗られているエリアでも、実際の地盤の状態はピンポイントで異なります。
また、少し離れただけで地盤の性質が変わることも珍しくありません。ハザードマップ上では「危険」と示されていても、個々のエリアで見ると強固な地盤が存在しているケースもあります。
液状化リスク=絶対購入不可ではない
「液状化リスクがある土地=絶対に買ってはいけない」というわけではありません。適切な建築計画と地盤への対策を施すことで、リスクを低減して安全に住み続けることは可能です。
土地価格や立地条件、周辺環境の魅力を総合的に考慮し、液状化リスク対策を考えましょう。
建物の構造・地盤調査・補強工事を含めた総合的な判断が重要
土地購入前や建築前には、必ずその敷地をピンポイントで地盤調査しておくと安心です。仮に地盤調査で液状化リスクが高いと判明した場合でも、以下の対策でリスクを抑える選択肢もあります。
* 地盤改良工事(柱状改良や鋼管杭工法など):建物の下に頑丈な杭を打ち込み、固い支持層まで建物をしっかり支える工事
* 耐震性の高い建物構造(ベタ基礎など):建物全体を一枚の頑丈なコンクリートの板で支えるベタ基礎を採用することで、万が一地盤が緩んでも家が傾くのを防ぎます
「液状化リスクがあるからこの土地はダメだ」と土地単体だけで判断するのではなく、「地盤改良工事でリスクを低減できないか」「対策工事を含めた予算内で安全が確保できるか」というリスクに対応して安全性を高める視点も、土地選びでは大切です。
液状化リスクを見極めるポイント
気になる土地を見つけたら、地形分類図やハザードマップ上の確認だけではなく、実際に現地へ足を運んで確認しましょう。周辺の道路や建物など、すでにある構造物を観察すると、地盤や液状化リスクに関する一次情報を得られます。
周辺の道路やブロック塀のひび割れ・傾き
検討している土地の周辺を歩く際は、道路の舗装や隣家のブロック塀、擁壁(ようへき)などに目を向けてみてください。
アスファルトに不自然な段差や大きなひび割れが多数存在したり、ブロック塀が傾いていたりする場合、周辺の地盤が過去に沈下を起こしたか、現在も少しずつ動いている可能性があります。電柱が垂直に立っているかを確認するのも有効な方法です。
隣家や古い建物の隙間や基礎の亀裂
物件の周辺にある住宅の基礎(コンクリート部分)を観察してみましょう。
基礎に太い亀裂が入っていたり、建物と地面の間に不自然な隙間ができていたりする場合、地盤の不同沈下(不均等に沈むこと)が発生している疑いがあります。築年数が経過している近隣の家々がきれいに立っているかどうかは、その土地の地盤の健全性を示す指標になります。
マンホールの浮き上がりや周辺の舗装状態
過去に大きな地震を経験したエリアであれば、マンホールの状態もチェックポイントです。
液状化が起こると、地中に埋まったマンホールが浮き上がり、周囲のアスファルトだけが沈下する現象が起きます。「マンホールの周りに補修された跡があるか」「マンホール周辺に段差ができていないか」を確認することで、過去の被害状況や地盤の状態を推測できます。
このように、現地での観察は地形分類図やハザードマップでは得られない情報を手に入れることができます。家族の安全を守り、安心して長く住み続けるために、ぜひ物件周辺を見て回りましょう。
まとめ|液状化リスクは避けるだけでなく、備える視点で見る
理想の土地選びにおいて、液状化リスクをはじめとする地盤の問題は避けて通れないテーマです。しかし、リスクを過度に恐れる必要はありません。
まずは旧河道や埋立地、低地といった地形の特徴を理解しましょう。そして、地形分類図やハザードマップを活用して検討している土地の成り立ちを把握しましょう。たとえハザードマップでリスクが指摘されていても、ピンポイントの地盤調査や地盤改良工事などの対策があります。適切な対策でリスクを低減すれば、安全性を高めて安心して暮らせます。
ただし、建築基準法や各種防災制度、具体的な地盤改良工事や建物の工法については、専門的な知見が必要です。最終的な判断の前に、必ず各自治体の窓口や建築士、地盤の専門家へ確認・相談を行いましょう。
また、トチシルを使えば、地盤の強さや周辺環境などの情報を重ね合わせて、土地を比較・検討することができます。リスクを適切に判断するツールとして活用し、後悔のない土地選びにお役立てください。

参考文献
液状化現象について https://www.mlit.go.jp/toshi/toshi_fr1_000010.html
液状化が起こる条件とは?液状化の可能性がある土地の特徴 https://sumaken.j-shield.co.jp/buy-house/liquefiable-site.html
液状化現象が起こりやすい場所って?土地の特徴や影響、対策を紹介 https://www.kentem.jp/blog/disaster-liquefaction-phenomenon-tst/






