空き家を売ると税金が安くなる?3,000万円特別控除をやさしく解説
2026年9月3日

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相続した実家を売るとき、「高い税金がかかるのでは」と不安になる人もいるでしょう。そんなときに確認したい制度の一つが、相続した空き家の売却に使える「3,000万円特別控除」です。ただし、空き家ならすべて対象になるわけではありません。この記事では、対象になりやすい家と、売る前の確認ポイントをわかりやすく解説します。
空き家の3,000万円特別控除とは
⇒相続した空き家を売るときの譲渡所得の特例
正式には、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」といいます。相続または遺贈で取得した一定の家屋やその敷地を売り、要件を満たした場合に利用できる制度です。
土地や建物の譲渡所得は、基本的に売却代金そのものではなく、売った金額から取得費や譲渡費用などを差し引いて計算します。この特例は、そこからさらに一定額を控除する仕組みです。そのため、「空き家を売れば3,000万円もらえる」「税金そのものが3,000万円安くなる」という制度ではありません。課税対象となる譲渡所得を抑えられる可能性がある制度です。
一定の要件を満たすと最高3,000万円まで控除
国税庁によると、一定の要件を満たす被相続人居住用家屋やその敷地等を2027(令和9)年12月31日までに売却した場合、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除できます。
ただし、家屋の建築時期や相続後の利用状況、売却時期、売却代金などにも条件があります。「実家を相続して空き家になった」というだけで適用されるのではありません。
2024年以後は相続人が3人以上の場合の上限にも注意
2024(令和6)年1月1日以後の譲渡では、対象となる家屋と敷地等を相続または遺贈によって取得した相続人が3人以上いる場合、特別控除額の上限は1人あたり2,000万円です。
相続人が複数いる場合は、単純に「それぞれ3,000万円まで控除できる」と考えず、誰が家屋や土地を取得したのかも必ず確認しましょう。
対象になりやすい家のイメージ
1.亡くなった人が住んでいた家
基本となるのは、相続開始の直前に亡くなった人が自宅として使っていた家です。さらに、その時点で被相続人以外に居住していた人がいなかったことも要件となります。
ただし、亡くなる前に要介護認定等を受けて老人ホームなどへ入所していた場合でも、一定の要件を満たせば対象になる可能性があります。相続開始の直前に自宅に住んでいなかったという理由だけで対象外と決めつけず、個別に確認しましょう。
2.1981年5月31日以前に建築された家
対象となる家屋は、1981(昭和56)年5月31日以前に建築されたものです。古い実家でも、建築年月によって適用可否が変わるため、登記事項証明書などで確認しておきましょう。
3.区分所有建物ではない家
対象家屋は、区分所有建物登記がされていないことも要件です。そのため、一般的な分譲マンションなどの区分所有建物は、この特例の対象にはなりません。
二世帯住宅など見た目は戸建住宅であっても、区分所有建物登記の有無を確認しましょう。
売る前に確認したいポイント
1.相続から売却までの期限
特例には売却期限があります。原則として、相続開始の日から3年が経った日が当てはまる年の末(12月31日)までに売る必要があります。また、現在の制度では2027(令和9)年12月31日までの譲渡が対象です。
家財整理や相続人同士の話し合い、査定、解体や耐震改修には時間がかかることがあります。特例を利用できる可能性を残したいなら、期限は早めに確認しておきましょう。
2.耐震改修または取り壊しの要件
家屋を残した状態で売却する場合は、一定の耐震基準を満たしていることが原則的な要件の一つです。一方、家屋を取り壊して敷地を売却する方法でも、条件を満たせば対象になります。さらに、2024(令和6)年1月1日以後の譲渡では、譲渡時点で耐震基準を満たしていない家屋を売却した場合でも、譲渡の日からその年の翌年2月15日までに耐震改修によって耐震基準を満たすか、家屋の全部を取り壊すなどの要件を満たせば、特例の対象となる場合があります。売買契約を結ぶ前に、誰がいつ耐震改修や取り壊しを行うのかも含めて条件を確認しましょう。
3.売却代金の上限
売却代金が1億円以下であることも要件です。共有している他の相続人が売却した部分や、一定期間内に分けて売却した部分の代金も合算して判定される場合があります。共有名義の不動産や土地を分けて売る場合は、自分の売却分だけで判断しないようにしましょう。
4.貸したり住んだりしていないか
相続してから売却するまでの間に、対象の家屋や敷地を事業、貸付け、居住のために使っていないことが重要です。「売るまで家族が住む」「一度賃貸に出してから売る」といった選択が、特例に影響することがあります。売る・貸す・住むの間で迷っているうちに税務上の条件を確認しておくと安心です。
よくある勘違い
1.どんな空き家でも使えるわけではない
この特例は、一般的な「空き家」すべてが対象ではありません。被相続人の居住状況、建築時期、登記、相続後の利用状況などの条件があります。「親から家を相続して今は誰も住んでいない」だけでは判断できないため、まず建物と相続の状況を整理しましょう。
2.何年でも待てるわけではない
相続した実家は、思い出や家族関係も絡むため、すぐ売却を決められないこともあります。ただし、特例には期限があります。将来売る可能性があるなら、「いつまでに売れば対象になり得るか」を先に確認しておくと、家財整理や話し合いの予定も立てやすくなります。
3.確定申告と書類が必要
要件を満たしていても、自動的に特例が適用されるわけではありません。適用を受けるには確定申告が必要です。確定申告では、譲渡所得の内訳書、売買契約書の写し、市区町村長が交付する「被相続人居住用家屋等確認書」など、売却方法に応じた書類を提出します。耐震改修をして売る場合などは、耐震基準への適合を示す書類が必要になるケースもあります。必要書類は売り方によって異なるため、個別の適用可否や最終判断は、売却前に税務署や税理士に確認してください。そのうえで、市区町村の窓口へ確認しながら必要書類を提出しましょう。
まとめ 特別控除が使えるかもと思ったら売却前に確認する
相続した空き家の「3,000万円特別控除」は、一定の要件を満たした家や敷地を売却した場合に、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる制度です。ただし、建築時期、相続後の利用状況、耐震性や取り壊し、売却期限、売却代金など複数の条件があります。
大切なのは、家を売ってから制度を知るのではなく、売却方法を決める前に対象になりそうか確認することです。相続した実家は税金だけでなく、建物の状態や土地の売りやすさによっても適した売却方法が変わります。駅からの距離など地域特性、接道条件・用途地域、ハザードマップ等の防災情報、周囲の売買・賃貸需要等も確認のうえ、不動産会社に査定を依頼します。なにより、税務上の特例について個別の適用可否や最終判断は、税務署や税理士などの専門家へ必ず確認したうえで進めていきましょう。
Q1. どんな空き家でも3,000万円控除が使えますか?
いいえ、そういう趣旨の制度ではありません。亡くなった人の居住状況、建築時期、区分所有建物ではないこと、相続後の利用状況など複数の要件があり、条件を満たすかどうか専門家をまじえた確認をする必要があります。
Q2. 解体してから売っても対象になりますか?
一定の要件を満たせば対象になる可能性があります。2024(令和6)年1月1日以後の譲渡では、売却後、譲渡した年の翌年2月15日までに家屋を取り壊すケースも対象となる場合があります。
Q3. 相続してから何年以内に売る必要がありますか?
原則として、相続開始の日から3年が経った日が当てはまる年の末(12月31日)までです。また、現在の制度は2027(令和9)年12月31日までの譲渡が対象です。期間の延長など、制度の変更についての最新情報は国税庁の公式ホームページなどで確認してください。
Q4. 控除を受けるには確定申告が必要ですか?
はい、特例を受けるには必要書類を添えて確定申告をする必要があります。必要書類は売却方法などで異なるため事前に確認して確定申告へ進みましょう。
参考文献
国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm






