横浜市南区のハザードマップ・地盤を解説|崖・土砂災害・擁壁の確認ポイント

2026年10月1日

横浜市南区のハザードマップ・地盤を解説|崖・土砂災害・擁壁の確認ポイント

目次

横浜市南区で住まいを探す際は、検討する物件ごとの地形や周辺環境を個別に確認することが重要です。なぜなら、同じ南区内であっても想定されるリスクが大きく異なるからです。たとえば、大岡川沿いの平坦地と丘陵地では確認すべきポイントが変わります。

この記事では、横浜市南区の地盤について解説するとともに、ハザードマップの使い方や、崖、土砂災害・擁壁などの災害リスクについて解説します。

横浜市南区の地盤・崖地リスク

横浜市南区は、平坦な低地と起伏に富んだ丘陵地が入り組んだ特徴を持っています。そのため、同じ区であっても土地の成り立ちや標高差によって注意すべきリスクは一様ではありません。

低地と丘陵地があり、場所によって確認ポイントが異なる

横浜市南区は、中央部を流れる大岡川や中村川沿いに広がる平坦な低地と、その南北に広がる丘陵地によって構成されています。

大岡川流域は、交通や生活の利便性が良いです。しかし、かつて河川の堆積物によって形成された土地も多く、地盤が比較的軟弱な傾向にあります。氾濫や浸水のリスクに対する備えが必要です。

六ツ川や永田などには丘陵・斜面地が広がります。一般的には水害に強い高台として見られますが、起伏豊かな地形であるため、少しの標高差で窪地が生まれ、水害リスクが高くなる箇所もあります。また、急傾斜地(崖地)も見られ、大雨や地震の際には土砂崩れや崖崩れへの配慮が必要です。

「高台だから安全」とは限らない

高台に位置する物件であっても、安全と断定することはできません。地形の変化や人工構造物の品質によって、リスクが変わるためです。

高台の物件であっても、敷地のすぐ裏手や前面に急な斜面がある場合、斜面からの崩落土砂に巻き込まれる危険性があります。

また、傾斜地を住宅地として開発する際には、元の地盤を削る切土(きりど)と、土を盛って平坦地を作る盛土(もりど)が行われます。切土と盛土では地盤の性質が異なり、とくに両者の境界では不同沈下の可能性もあるため、造成履歴と地盤調査結果を確認することが重要です。

擁壁の状態にも注目

盛土や崖地を保持するために構築された擁壁(ようへき)は、経年劣化や排水不良によって強度が低下します。ひび割れや膨らみが生じている擁壁は、斜面全体の安定性に悪影響を及ぼす恐れがあります。

トチシルとは

横浜市南区の谷戸・坂・崖地の地形を読み解く

横浜市南区で土地の特徴を知るには、地形そのものを見ることが重要です。

地形分類図・標高で土地の特徴を確認する

国土地理院の土地条件図は、山地、台地・段丘、低地、水部、人工地形などに土地を分類した資料です。地形の形だけでなく、成り立ちや性質、人工的な改変についても読み解けます。

住宅地を見るときは、物件の周辺との標高差にも注目しましょう。たとえば、住宅が急な坂上にある土地では、道路や隣地に擁壁がないかを確認します。反対に、周囲より低い土地では、雨水がどこからどこへ流れていくのかを見ることが重要です。

谷底低地と斜面地ではリスクが違う

横浜市南区の主な災害リスクは、谷底・低地エリアと斜面地エリアで対比的に表れます。それぞれの特徴を理解し、物件を検討する際に役立ててください。

「坂の上」「坂の下」で判断しない

坂の多い横浜市南区では、「坂の上だから安心、坂の下だから危険」と考えないようにします。

以下の点を確認しましょう。

・道路の傾斜

・敷地そのものの傾斜

・道路と敷地の高低差

・隣地との高低差

・敷地内の擁壁

・上側の土地から水が流れてこないか

横浜市南区の土砂災害・盛土・擁壁を別々に確認する

崖や斜面のある住宅では、土砂災害、盛土、擁壁を別々の項目で確認することがポイントです。それぞれ意味が異なるため、一つの情報だけで判断しないようにしましょう。

土砂災害警戒区域に入っているか確認する

土砂災害防止法に基づき指定される警戒区域は主に二つに分けられます。

一つ目は、土砂災害警戒区域で、通称イエローゾーンと呼ばれます。土砂災害が発生した場合に、住民の生命または身体に危害が及ぶ恐れがあると認められる区域です。住宅建築自体は可能ですが、避難体制の確保などが求められます。

二つ目は、土砂災害特別警戒区域です。通称レッドゾーンと呼ばれます。警戒区域のうち、土砂の移動等により建築物に損壊が生じ、著しい危害が及ぶ恐れがある区域です。開発行為の制限や、建物の構造規制(崖側の壁をRC造にする等)が課されます。

南区防災マップを見ると、イエローゾーン・レッドゾーンに該当するエリアが点在し、ほんの数十m移動するだけでリスクが変わるのがわかります。

盛土造成地かどうかを確認する

盛土とは、住宅地などを造成するために土を盛って土地の高さを変えることです。反対に、土地を削って高さを下げるのが切土です。大きな谷間を埋めた大規模盛土造成地では、大地震時に盛土全体が滑り出す滑動崩落という現象を起こす可能性があります。

横浜市では2025年4月1日から盛土規制法に基づく規制が行われており、横浜市全域が「宅地造成等工事規制区域」に指定されています。さらに、横浜市は2026年4月に「盛土規制法の手引」を改定しています。

擁壁は「ある・ない」だけでなく状態を見る

擁壁とは、土砂が崩れないように、土地の高低差を支えるための構造物を指します。

擁壁は現地で確認するのが有効です。次のような点を確認しましょう。

・ひび割れがないか

・擁壁が傾いていないか

・壁が外側に膨らんでいないか

・水抜き穴が設けられているか

・排水が適切に機能しているか

・擁壁の上側の地盤に異常がないか

・擁壁の高さはどの程度か

横浜市南区で家を購入する前に現地と資料で確認すること

希望の物件が横浜市南区で見つかったら、以下の6ステップに沿って現地と書類の両面から多角的な調査を進め、安全性やリスクを確認しましょう。

① ハザードマップで災害リスクを確認する

購入を検討している物件の住所で、以下の各種リスクをチェックします。

・土砂災害

・洪水

・内水

・高潮

・地震

・液状化

② 地形と高低差を確認する

次に、物件と周辺の地形を確認します。

・敷地自体が周囲の道路や隣地と比べて高いか、低いか

・前面道路との間に何メートルの高低差があるか

・隣地との境界部分に急な斜面や未整備の崖が存在しないか

・崖からの離隔距離が法令や現地条件に照らして十分か

・周囲の地形から見て、雨水が流れてくる谷になっていないか

③ 造成履歴・盛土の有無を確認する

土地がどのように作られたかの歴史も確認します。

・昭和初期や開発前の古地図・航空写真を閲覧し、元々が田んぼ、池、谷戸、山林のいずれであったか

・造成された時期(古い年代の盛土か、新法に基づき適切に施工された盛土か)

・対象敷地が切土上にあるのか、盛土上にあるのか、あるいはその境界線(またぎ地盤)にかかっているか

・過去の地盤調査データ(SWS試験結果など)があるか

④ 擁壁の状態と資料を確認する

擁壁がある場合は、以下を確認しましょう。

・誰が所有しているのか

・いつ造られたのか

・どのような構造なのか

・確認申請・検査済証などの資料があるか

・補修履歴があるか

⑤ 雨の日の排水・水の流れを確認する

斜面地や低地では、雨水の流れも確認したいポイントです。

現地では、以下の点を確認します。

・水がどこから流れてくるか

・排水溝はどこにあるか

・擁壁の水抜き穴は機能しているか

・道路に水が集まりやすくないか

・敷地に水がたまりやすくないか

⑥ 避難経路も実際に歩いて確認する

最後に確認したいのが避難経路です。ハザードマップ上で避難所を確認するだけでなく、実際に物件から避難場所まで歩いてみましょう。

「大雨や地震の際、この急な坂道を安全に下りることができるか」「万が一、途中の道路が土砂崩れや擁壁倒壊で途絶した場合に備え、迂回できる代替避難ルートがあるか」などを考えながら確認することが大切です。

横浜市南区の地盤についてよくある質問

ここでは、横浜市南区で住宅を検討される方から寄せられる疑問について回答します。

横浜市南区は地盤が弱い地域ですか?

南区全体を一概に「地盤が弱い」と断定することはできません。同じ区内であっても、敷地の標高や地形分類によって地盤の強度が大きく異なるからです。

南区の高台なら土砂災害の心配はありませんか?

高台であっても、土砂災害のリスクが完全に無いわけではありません。敷地の縁が急傾斜地に接している場合や、切土・盛土によって造成された斜面が存在する場合は、崖崩れや盛土の滑動崩落のリスクがあります。

崖の近くの住宅は避けたほうがいいですか?

崖の近くであるからといって住宅購入を避ける必要はありませんが、確認項目が増えます。本記事で解説した土砂災害区域、高低差、擁壁、排水、造成履歴などを確認し、不明点は専門家や区役所の窓口に相談するとよいです。

まとめ|横浜市南区で家を探すなら地盤・崖・擁壁まで確認しよう

横浜市南区で住まいを探すときは、「南区は安全」「南区は危険」と地域全体を一括りにしないことが重要です。

①ハザードマップで災害リスクを確認する

②地形・標高・高低差を見る

③盛土・切土など造成の状況を確認する

④崖や擁壁の状態を確認する

⑤排水や避難経路を現地で確認する

大岡川沿いの低地と丘陵地が混在する南区では、ハザードマップによるリスクの把握から始まり、地形・標高・高低差の調査、そして盛土や擁壁の状態確認へと段階を踏んで調査することが大切です。家族の安全を守るために、入念なチェックを実施して住まい選びを進めてください。

トチシルとは

参考文献

・横浜市 「横浜市浸水ハザードマップ」https://www.city.yokohama.lg.jp/bousai-kyukyu-bohan/bousai-saigai/map/shinsui/minami.html

・横浜市 「横浜市土砂災害ハザードマップ」https://www.city.yokohama.lg.jp/business/bunyabetsu/kenchiku/bosai/gake/hmap.html

・横浜市「大規模盛土造成地の状況調査について」https://www.city.yokohama.lg.jp/business/bunyabetsu/kenchiku/takuchi/youheki-morido/kihon/morido.html

・横浜市 「盛土規制法の手引」https://www.city.yokohama.lg.jp/business/bunyabetsu/kenchiku/takuchi/morido/moridotebiki.html