子育て世帯が本当に住みやすい街は?神奈川(横浜市・川崎市・相模原市)の教育環境を数字で徹底比較

2026年5月25日

子育て世帯が本当に住みやすい街は?神奈川(横浜市・川崎市・相模原市)の教育環境を数字で徹底比較

目次

はじめに――なぜ「データで比較」が必要なのか

神奈川県は東京都に隣接し、横浜・川崎・相模原の3つの政令指定都市がある国内有数の都市圏です。

都内への通勤圏としても人気が高く、首都圏で住まいを探すファミリー層にとって有力な選択肢です。

しかし「神奈川県のどの市が子育てに向いているか?」をデータで比較している人は多くありません。

「子育てしやすい街」の定義は家庭ごとに異なります。

共働き家庭は保育所の空き状況や学童の充実度が最優先になるかもしれませんし、教育熱心な家庭は学区の学力水準や私立中学校への進学率などが重要になるでしょう。

本記事では横浜市・川崎市・相模原市の神奈川県3市を、①保育環境(待機児童数)、②学力(全国学力調査)、③各市の教育の特色、④中学受験状況、⑤学童保育の整備、⑥治安データの6つで比較します。埼玉版(さいたま市・川口市・川越市)に続くシリーズ記事です。

「住みやすさランキング」のような画一的な指標に頼るのではなく、自分の家庭は何を重視するかを明らかにするために本記事を読み進めていただければと思います。

神奈川3市の保育環境――待機児童数の推移

未就学児がいる共働き家庭にとって、「保育所に入れるかどうか?」は住まい選びに大きな影響があります。以下は各市の待機児童数の推移です。

令和3年

令和4年

令和5年

令和6年

令和7年

横浜市

16

11

10

5

0

川崎市

0

0

0

0

0

相模原市

4

3

15

7

8

※ 出典:各市ホームページ・こども家庭庁公表データをもとに作成(令和8年5月1日現在)

横浜市は近年、保育環境の整備が急速に進み、全国最多クラスの認可保育所数を誇っています。

待機児童数は令和7年に0人になり、令和8年度の調査でも0人になりました。

横浜市で初の2年連続での待機児童ゼロを達成しています。

川崎市は人口密度が高く、特に武蔵小杉・溝の口周辺は子育て世代の人口が増えています。

保育施設の整備も着実に進んでおり、待機児童0を継続しています。

川崎市内の地域子育て支援センターや保育園等での子育てイベントや講座について、情報の閲覧や予約ができる、無料のWebアプリ「ジモイク川崎」も子育て世代を支えています。

相模原市は待機児童数ゼロは達成できていませんが、入所しやすい傾向が続いています。

南区では1歳児の預かりを利用する人が増加しており、待機児童が発生する年が続いています。

住む地区を絞り込む前に、その地区の保育施設の空き状況を市の相談窓口で確認することをおすすめします。

また、横浜市や川崎市のように待機児童数が0でも、希望する園・希望する地域・希望する年齢枠に入れるかどうかは別の問題です。

特定の人気エリアでは依然として競争が激しいため、早めの情報収集と複数の園への申し込みを心がけましょう。


トチシルでは保育施設を地図上で確認できます

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全国学力調査の結果比較――基礎学力の水準を確認する

子どもの学力水準を把握する際に参考になるのが、文部科学省が毎年実施する「全国学力・学習状況調査」です。

小学校6年生と中学校3年生を対象に国語・算数(数学)・理科の学力を測るこの調査は、地域ごとの基礎学力を把握する上での基本データになります。

ただしこの調査は「基礎・標準的な学力」を測るものであり、中学受験に向けた高度な学習環境や、特定の教育サービスの充実度を測るものではありません。

この点を念頭に置きながらご覧ください。

R7年

全国

神奈川県

横浜市

川崎市

相模原市

小・国語

68.8

66

67

69

67

小・算数

58.0

59

60

63

57

小・理科

57.1

57

57

59

58

中・国語

54.3

55

55

55

55

中・数学

48.3

51

52

52

50

中・理科※

503.3

510

505~514

505~514

505~514

横浜市は全国平均の水準で、特に小学校の算数・理科と中学校の理科で安定した結果を出しています。

川崎市は全国平均を上回る結果で、特に算数・数学は全国平均を大きく上回っています。

相模原市は県平均と同水準で、全国と比較しても標準的な学力水準が保たれています。

※中学校理科は、CBTで実施し、IRT(項目反応理論)に基づき算出したスコアにより結果を表示している。

各市の教育の特色――数字の裏にある「方向性の違い」

全国学力調査の結果だけでは見えない、各市の教育の方向性と特色を整理します。

横浜市は「横浜教育ビジョン2030」と第5期教育振興基本計画のもと、子どもを学びの主体・パートナーと位置づけ、ICT活用、小中一貫・地域連携、特別支援や日本語指導の充実などを通じて、一人ひとりの成長と多文化共生を重視することが大きな特徴です。

また、横浜市は「グローバルモデル校」を設置し、英語教育の強化とともに、AIやメタバースなど最新の技術を使った学びを進めています。

また、全ての市立小・中学校に個別支援学級が設置されており、一人一人の状況に合わせた少人数の学習ができます。

川崎市は、「かわさき教育プラン」に基づいて教育施策を進めており、全ての子どもが個性と能力を伸ばし、自分の生き方や将来を主体的に考えられる力を育てることを重視しています。

特にキャリア教育や「在り方・生き方教育」を全校で計画的に行っている点が大きな柱になっています。

また多文化共生を教育の核心に置き、外国にルーツを持つ子どもへの日本語支援・多言語対応の充実に力を入れています。

多様な背景を持つ友人と共に学ぶ環境は、グローバルな視野を育てるという点でとてもユニークな強みと言えます。

相模原市は「第2次相模原市教育振興計画」を教育の大綱として位置づけ、「生きる力を育むこと」「地域とともにある学校づくり」を柱に、市全体で教育を進めています。

市の豊かな自然環境や多様な人材を教育資源として活用することが特徴です。

歴史的な街並みや相模川・高尾山周辺の自然を教材にした体験学習が実施されており、机上の学習だけでなく五感を使った探究的な学びを重視しています。

「学力の数字より体験の豊かさ」を大切にしたい家庭には、相模原市の教育スタイルがフィットするかもしれません。

中学受験状況――私立進学率から見る各市の受験文化

ここでは、横浜市、川崎市、相模原市の中学受験の状況について解説します。

各地域で中学受験に対する意識の高さには差があります。

横浜市は、区によって中学受験率の差が大きいです。

青葉区・中区・西区は中学受験率が高く、神奈川県内でもトップクラスです。

川崎市では高津区、幸区の中学受験率が高い傾向にあります。

相模原市は2市に比べて中学受験率は低いですが、南区は比較的高めの地域です。

相模原中等教育学校は毎年5倍近くの倍率があります。

神奈川県内の主な私立中学校としては、以下の学校が挙げられます。

* フェリス女学院中学校 * 浅野中学校 * 慶應義塾普通部 * サレジオ学院中学校 * 聖光学院中学校 * 横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校附属中学校 * 横浜市立南高等学校附属中学校 * 神奈川大学附属中学校 * 公文国際学園中等部 * 山手学院中学校 * 横浜共立学園中学校 * 横浜雙葉中学校 * 横浜国立大学教育学部附属横浜中学校

これらの学校へのアクセスという点では、横浜市・川崎市が地理的に有利です。

参考文献

[神奈川県の中学受験が熱心な市区町村ランキング【完全版】](https://diamond.jp/educate/articles/chugakujuken_hiritsu_ranking/400359/)

放課後児童クラブ(学童)の整備状況

共働きの家庭で気になるのが、放課後児童クラブ(学童)の状況です。

以下は各市の放課後児童クラブの設置数です。

クラブ登録数 | クラブ登録児童総数

横浜市

571

48,691

川崎市

141

18,829

相模原市

126

7,630

横浜市は、放課後児童クラブの整備が最も進んでおり、政令市の中でもトップクラスです。

現在は「放課後キッズクラブ」(市事業)と「放課後児童クラブ」(民間・自主など)の 2 つの仕組みを併せて運用しています。

川崎市では、「わくわくプラザ事業」と呼ばれる全児童対象の事業を2003年度から実施しており、市内のすべての公立小学校敷地内に施設が設置されています。

相模原市では、市立児童クラブが67か所設置されており、主に小学1年生から3年生を対象としています。

2025年5月現在の登録児童数は7,630人です。

治安データ比較――数字と「実感」の両方で判断する

子育てや学力の状況以外にも、地域の治安も住みやすさを判断するために大切なポイントです。

ここでは刑法犯認知件数のデータを参考に治安を見ていきます。

ただし人口規模が異なる3市を件数の多寡だけで比較することは正確ではないため注意が必要です。

総数

凶悪犯

粗暴犯

窃盗犯

知能犯

風俗犯

その他

横浜市

18,925

178

1,389

12,924

2,142

611

1,681

川崎市

82,56

50

600

5,790

949

209

658

相模原市

4,530

35

293

3,401

299

101

401

※令和7年刑法犯 罪名別市区町村別 認知件数

横浜市は人口が多いため総数は最大ですが、18の区ごとに治安の傾向が異なります。

港南区・都筑区・青葉区などの住宅地中心エリアは比較的落ち着いており、繁華街を含む中区・西区などは件数が多い傾向にあります。

住む区・地区を絞った段階で、その地区の犯罪傾向を警察の発表資料で確認すると良いです。

川崎市は、川崎区だけで市内全体の犯罪件数の約3分の1が集中しているという特徴があります。

川崎駅周辺には繁華街や風俗街があり、軽犯罪の数が比較的多い傾向です。

相模原市は窃盗犯が約8割と圧倒的に多く、日常的な軽犯罪が中心です。

凶悪犯は少なく、暴力事件や殺人事件は他都市よりも少ない傾向にあります。

治安の良さは、以上の数字では見えない「実感」の確認も重要です。

現地を昼と夜で観察したり、地域の掲示板や自治会の情報を見たり、通学路の防犯カメラ設置状況を確認したりし、数字と実感で治安を判断しましょう。


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あなたの家庭に合う市は?――優先軸別の整理

神奈川3市は、家庭が重視する視点によって最適な選択肢が変わります。

横浜市は「共働きと教育のバランス」を重視したエリアです。

2年連続待機児童ゼロを達成し、放課後キッズクラブ等の学童体制も良好です。

教育面ではICT活用や個別支援に注力し、青葉区など中学受験率が高いエリアも存在します。

川崎市は「高い基礎学力と多文化共生」が特徴で、全国平均を上回る学力(特に算数・数学)が川崎市の強みです。

全小学校に「わくわくプラザ」があり放課後の居場所も確保されています。

キャリア教育や多文化共生など、多様性を重視する教育方針の家庭に向いたエリアと言えます。

相模原市は「体験学習と落ち着いた環境」を重視したエリアです。

自然を教材にした探究学習など、五感を使う教育が特色です。

他2市に比べ中学受験率は控えめですが、凶悪犯が少なく、穏やかな環境で子育てをしたい家庭に適しています。

まとめ

神奈川の3政令指定都市(横浜・川崎・相模原)はいずれも全国標準以上の教育環境を備えていますが、教育の方向性・受験文化・学童整備の状況・治安の特徴には明確な違いがあります。

「どこが一番いいエリアか?」ではなく「わが家の優先順位に合っているエリアはどこか?」を軸に比較することが、後悔しない住まい選びの出発点です。

本記事で紹介したデータを参考に、さらに市の公式サイト・相談窓口・現地確認で情報の解像度を高めてください。


トチシルでは各地区の保育施設・学校・ハザード情報を地図で一覧確認できます。ぜひ活用してください。

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