「保育園に入れる」だけじゃない——共働き家庭が住む前に確認すべき、子育てコストの自治体格差

2026年5月25日

「保育園に入れる」だけじゃない——共働き家庭が住む前に確認すべき、子育てコストの自治体格差

目次

はじめに――無償化の「その先」にある、見えないコスト差

2019年から始まった幼児教育・保育の無償化により、3歳以上の認可保育所・幼稚園の利用料は実質ゼロになりました。

「保育料がかからなくなった」という認識が広がり、子育てコストが大きく下がったと感じている方も多いと思います。

しかし無償化の対象は保育料の一部に限られており、実際の子育てコスト全体はそれほど変化していない面もあります。

医療費の自己負担、学童保育の月額、学校給食費、習い事・塾費用——これらは自治体によって大きく異なり、年間で数十万円の差が生じることがあります。

「保育園に入れるかどうか?」だけで住む街を選ぶと、入園後の継続的なコスト負担で後悔する場合があります。

本記事では、保育料以外の子育てコストを構成する主要項目(医療費助成・学童保育月額・給食費)を取り上げ、さいたま市・川口市・横浜市・千葉市・東京23区などを例に自治体間の格差を整理します。

『「保育園に入れる」から「続けられる子育てコストで選ぶ」へ』、住まい選びの視点をアップデートする機会にしてください。

子育てコストの全体像――保育料以外に何がかかるか

子育てに関わる主な費用項目を整理します。

①保育料(0〜2歳)

無償化の対象外で、認可保育所の月額は自治体・世帯年収によって異なります。

住民税非課税世帯は無償、それ以外は年収に応じて月額2,000〜77,000円(自治体の上限設定による)の範囲で設定されます。

②医療費

子どもの医療費助成制度は多くの自治体が実施していますが、助成の年齢上限・1回あたりの自己負担額・所得制限の有無が自治体によって異なります。

年間の通院・入院回数が多い幼少期は、医療費の差が家計に直結します。

③学童保育(放課後児童クラブ)

放課後児童クラブは就学後に子どもを預ける場として最も重要な施設です。

公設学童の月額は自治体によって3,000〜8,000円程度ですが、定員不足で入れない場合は民間学童を利用することになり、月額25,000〜80,000円という水準になります。

④給食費

小・中学校の給食費は月額4,000〜5,000円程度が多く、子ども2人なら年間10万円前後のコストになります。

自治体によっては全額または一部を無償化しており、この差は家計に無視できない影響を与えます。

これらを合算すると、医療費・学童・給食費だけで年間20〜60万円の自治体格差が生じる可能性があります。

家賃と合わせてトータルの生活コストで住む街を選ぶことが重要です。

医療費助成の範囲――年齢上限と自己負担の自治体比較

子どもの医療費助成制度の内容は自治体によって異なります。

自治体

助成対象年齢(通院)

所得制限

東京23区(多くの区)

18歳の年度末まで

なし

さいたま市

18歳の年度末まで

なし

川口市

18歳の年度末まで

なし

横浜市

18歳の年度末まで(令和8年6月1日から)

なし

相模原市

高校生世代までの子ども(15歳に達する日の翌日以後の最初の4月1日から18歳に達する日以後最初の3月31日まで)

中学生までは所得の制限はなし。 高校生世代は、養育者の判定対象となる年の所得が限度額未満であることが必要。

千葉市

高校3年生相当年齢まで

なし

船橋市

18歳の年度末まで

なし

どの自治体も助成対象年齢が18歳年度末までになっており、所得制限が撤廃される自治体も増え、実質無償化の流れが広がっています。

ただ、仮に高校生の通院が年間5〜10回あり、1回の自己負担が1,000〜3,000円(3割負担の場合)だとすれば、年間で5,000〜30,000円の差が生じます。

お子さんの健康状態によってはもっと大きな差になる可能性があるため、慢性的な疾患を持つお子さんがいる場合は特に注意して各自治体の医療費助成制度を確認しましょう。


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学童保育の月額費用――最大10倍以上の格差がある

子育てコストの自治体格差の中でも、最も差が大きいのが学童保育の月額費用です。

公設学童の月額は3,000〜8,000円程度が多いですが、民間学童は25,000〜80,000円と約10倍の開きがあります。

公設学童の定員に入れなかった場合、民間学童を利用せざるを得ないケースでは年間30〜70万円のコスト増になります。

子ども2人いれば、その差は年間60〜140万円に膨らむこともあります。

この差は家賃の違いと同等か、それ以上の影響を持ちます。例えば、「家賃が月2万円安い自治体に住んでも、学童が民間のみしか利用できなければ年間24万円の節約が帳消しになる」というケースは珍しくありません。

また、学童の入りやすさは自治体全体ではなく、住む地区・学校区ごとに大きく異なります。「この物件に住んだら、近くの学童に入れるか?」を個別に確認することが必要です。

自治体の相談窓口(子育て支援課・保育課など)に問い合わせれば、地区別の状況を教えてもらえます。

給食費の無償化状況――都市間で広がる差

小・中学校の給食費は月額4,000〜5,000円程度が多く、子ども1人あたり年間4〜5万円の出費になります。自治体によって無償化の対象や条件が異なります。

東京都は、2024年度から都の補助金を活用し、都内全区市町村で小・中学校の給食費を完全無償化しています。

さいたま市では令和8年4月から小学校での給食費無償化が実現し、横浜市では、令和8年度から市立小学校等の給食費(小学校・義務教育学校前期・特別支援学校小学部)は保護者負担0円となり、中学校給食費は1食330円(フルセット)です。

一方で千葉市は、多子世帯の子育てに対する経済的負担の軽減を図るため、第3子以降の義務教育期間における千葉市立学校の学校給食費が無償となっています。

このように給食費の無償化については各自治体によって条件が様々です。

最新の状況は各自治体の教育委員会・学校教育課に確認してください。

自治体独自の子育て支援制度――注目事例

保育料・医療費・学童・給食費の他に、自治体独自の子育て支援制度も住む街選びの参考になります。

流山市(千葉県)は「母になるなら、流山市。」というブランディングで知られています。

地域で助け合う「ファミリー・サポート・センター」の活動が活発で、保育園の送迎や一時預かりのサポートが受けやすいのが特徴です。

さいたま市は市内に子育て支援センターが2つあり、3歳未満のお子さんを短時間預かってもらえますお預かりしています。

「上のお子さんの参観や懇談会に出席する時」や「ご家族の通院や付添い・お見舞い」などの場面で活用できます。

「遊び場・相談場所の充実」という観点では、さいたま市は首都圏の中でもトップクラスです。

東京都文京区は教育予算が多く、公立小・中学校のICT環境整備・補充学習支援が手厚いことで知られています。

住居コストは高めですが、教育の質という点での投資効果は高いとされています。

このように、各自治体の子育て支援制度には特徴があります。

これらの施策は自治体のホームページや相談窓口で確認できます。

「どんな施策があるか」を調べることで、学力や待機児童数などの数字ではわからない街の教育方針が見えてきます。

まとめ――「保育園に入れる」から「子育てコストで選ぶ続けられる」へ

保育園・学童に「入れる」かどうかは住まい選びで大切な視点です。

しかし、入れた後のコスト(医療費・学童月額・給食費)・支援制度の充実度・待機リスクまで含めて中長期的に考えることも、後悔しない住まい選びにつながります。

医療費助成の年齢上限・学童月額・給食費の無償化状況などを合算して「年間の子育てコスト」を試算すると、家賃だけでは見えなかった子育てコストの実態が見え、「続けられる」かどうかの判断もしやすくなります。

ぜひ本記事を今一度、参考にしてください。

最後に一つ重要なことを。本記事に掲載したデータは2025年時点の情報に基づいており、自治体の制度は変更される可能性があります。

引っ越し前には必ず各自治体の公式ホームページ・窓口で最新情報を確認してください。


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